何となく連作っぽいイメージで描いていた断片エピソードイラストたち。
本の中の僕よりも、今君の目の前にいる僕をみて。
「まだ起きてるの?」 pic.twitter.com/FyQ0MZ44UZ
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) October 6, 2020
「……おやすみ」
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) October 9, 2020
!!!!?
「そんなところで、寝ちゃダメですっ」 pic.twitter.com/8sKVmBybg7
『月夜に太陽を待つ』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) April 23, 2021
割り当てられたのは、本当に何もない部屋。
あるのは、貴方の置いていった貴方の好きなお酒。
小さな二つのガラスの杯。
読みかけの一冊の本。
神に仕える身には、十分すぎる贅沢品。
貴方が来てくれも、きっと私はいつも通り。
今夜も本を読んでいるだけ。 pic.twitter.com/abTwk9r4oE
『やあ』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) April 29, 2021
「今夜も月がきれいだね」
挨拶代わりの台詞は何時でも同じ。今夜はたまたま、本当に月が出ているけれど。
「何もないですよ」
「いいよ、君に会いに来ているだけだから」
「そう」
本当は嬉しいくせに、君は時々ちょっと素っ気無い。
もしかして、今夜もずっと本を読んでいるつもりかい? pic.twitter.com/xiRrFBCbZV
『ずっと待っていたんだろう?』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) May 2, 2021
「いいえ、もう寝ようかと」
枝に引っ掛かるからと先に放った外套を、君は大事そうに抱きしめながら、つれなく首を横に振る。
「素直じゃないなあ」
待ち侘びてましたと、顔にはっきり書いてあるのに。僕が笑うと君はすぐに目を逸らすんだ。
《頬を染めて、俯いて》 pic.twitter.com/x2hKvVSC32
『あーあ、やっぱり』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) May 17, 2021
君はこっちに背を向けちゃうんだね。
まあ、別に良いんだけど。いつもの事だし。
「その本、そんなに面白い?」
「ええ」
ふーん、その割に全然読み進んでないみたいだけど。もしかして、わざわざ僕が居る時にだけ読んでいるの?
《そんなわけないでしょうと君は言うけれど》 pic.twitter.com/e5F9Fdqbcz
『ねえ、前も同じところ読んでなかった?』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 23, 2021
「少し間をあけてしまったから、読み直しているの」
「忙しかったのよ、今週は」
落ち着いたふりをしているけれど、追及されまいと必死で弁明しているようにしか見えないよ。
ねえシェフィ、どうしてそんな顔をするんだい?
《泣きたいのは、僕の方だぞ》 pic.twitter.com/tI3pRoQ4pH
『だってこれを読み終えてしまったら、遮るものが無くなってしまう』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 24, 2021
真っ直ぐな眼差しを正面から受け止められるほど、私の心は強くないのです。
「もう少しで、読み終えるから」
控えめに、そう告げるだけで精一杯なのだと、きっと貴方だってわかっているのでしょう?
《だから意地悪しないで》 pic.twitter.com/m0X7ZFdEOc
『もう少しで読み終わるって言ってるのに!』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 24, 2021
横から一々口をはさんでくるんだもの、これじゃあ全然進まない。
自分の方が格好いいとか、主人公に文句ばっかり言っているけど、私から見れば貴方にとってもそっくりです。
だから好きなのこの物語が。
ねえお願い。最後までちゃんと見届けさせて。 pic.twitter.com/H0KuoF32DR
この脚色は余計だし、そのエピソードは蛇足だよ。
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 25, 2021
ああもう、事実が殆ど捻じ曲がっているじゃないか。
叙事詩《サーガ》に謳われる事は誉だけれど、あまりにかけ離れた英雄像は少々癪だ。
ねえシェフィ、そんな昔話の男よりちゃんと今君の目の前に居る僕の方をみておくれよ。
《そいつは紛れもなく―》 pic.twitter.com/lF4fwEPkAK
『だからよせと言ったのに』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 25, 2021
「あんまりだわ、こんなのって」
本を閉じ、一息おいて君は嘆く。
伏せた瞳からは今にも雫が零れそうだ。
「結末を、知っていたの?」
まあねと曖昧に答える僕の表情は、君にはどう見えたのだろう。
「金髪碧眼の勇者の物語には、悲劇ばかりが綴られているのさ」 pic.twitter.com/CRABKriSMg
『そんなことよりっ!』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 25, 2021
「残念だけど、もう帰らなくちゃ」
もうすっかり夜も更けてしまったよ。
今夜も結局、全然かまってくれなかったね。
君は一瞬きょとんとして、それからみるみるしおれてく。
そんなに名残惜しそうな顔をするのなら、次はちゃんと僕をみて。
《過去より今を、一緒に楽しもう》 pic.twitter.com/D89K4Y43Nc
※after that※ pic.twitter.com/d3dvlSj4QV
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 27, 2021
『おやすみなさい』 pic.twitter.com/881oaZSuYb
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) December 31, 2021
優しい彼は、結局朝まで傍に居てくれる。
しかし、彼女は懲りない。
『新しい本、買ったの?』
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) January 8, 2022
「絶対、わかってやってるでしょ?」
「だって…」
「だって、何?」
君は答えず、本に顔を隠した。
良いよ。君が何も言わないなら、僕も黙っていよう。
どっちが先に話したくなるか、我慢比べだ。
《君は僕を意地悪と言うけれど》 pic.twitter.com/N9MmiUonNe
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) January 13, 2022
『意地をはりあった末路』 pic.twitter.com/UTUFAsZJoS
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) March 28, 2022
いつでも会えるわけじゃない。
わかっていたのに。
『最近夜が長く感じます』 pic.twitter.com/4sZWq7khn0
— かめ🐢🔥⚔@忙殺丸2023 (@T0M0M1_1T0) August 21, 2021
彼女は素直に甘えられない。
自信が無いから。
傷付くのが怖いから。